キリンの首はなぜ伸びたか

ちょっと時間かかることを書く余裕はないので、ソフトウェア関係ないこと。
羽生さんとこの話を見て気になってたことです。そういえば前に読んだ本で、獲得形質の遺伝の説明が書いてあって、訳者あとがきで否定されてたなと。で、読み直してみました。


キリンが高い場所の葉っぱを食べてると首がのびて、それが子孫に遺伝するというようなことを「獲得形質の遺伝」というんですが、それってどうよ?という話です。つまり、首が伸びたという情報をどうやって生殖細胞が知るのかという話と、精子卵子が持つDNAというのは基本的には親の完全なコピーだってことなんです。
たとえばぼくがすごく速くキーボードを叩く特別な指を今までの生活から手に入れてたとしても、それによってDNAに影響を与えないわけです。生まれたときにもっていたDNAが変化することはありません。そうすると、寝てすごそうがサッカー選手になろうが猛獣使いになろうが、子孫に伝えることができるDNAも変わらないわけです。


で、そういうことから獲得形質の遺伝って不思議だねという話があって、ぼくが読んだ量子進化―脳と進化の謎を量子力学が解く!では量子力学によって説明されてました。
のですが、その本の訳者あとがきには、獲得形質の遺伝というのはすでに否定されて、今では別の理論が有力になっているという話がかかれていました。素敵な構成です。
その有力になっている理論というのは、中立進化といって、突然変異は環境に有利な方向にも不利な方向にも同じ確率で起こるという理論です。その多様性の中で環境に適したものだけが生き残るということです。
つまり、いま人間の平均身長が170cmだったとして、突然変異によって120cmの人も220cmの人も同じ確率で生まれるということです。その中で、大きい人が有利な環境であれば大きい人が多く子孫を残し、小さい人が有利な環境であれば小さい人が多く子孫を残し、大きさが関係なかったり今の大きさが適切だったら突然変異しない人が多く子孫を残すわけです。環境に適応できない方の突然変異の場合は、成長することができない可能性も高いので、化石もあまり残らず、結果として環境に適応する突然変異ばかりが起こってるように見えるということになります。


ただ、細胞のエネルギーであるATPを合成するための15の過程が、分子のスープを数億年かき混ぜただけで偶然おこるのかとか、生命の発生や進化の謎は解明されてないものが多いっていうことが否定されるわけではありません。
って結局時間かかってんの。