TPP参加で二次創作ができなくなりコミケはつぶれる、のかな?

TPP参加すると、著作権侵害罪が親告から非親告になって、警察が独自判断で捜査できたりするようになるから、コミケとか二次創作はつぶれてしまう、だからTPPに反対しましょう、みたいなのが流れてきて、違和感あったので調べてみた。
そしたら、こういう資料をみつけたので、気になったところをメモ
文化審議会 著作権分科会 法制問題小委員会(第5回)議事録・配付資料 [資料3]−文部科学省

権利者の意思と関係なく捜査・起訴されるの?

非親告罪化に関する実務上の問題、効果について」のところにこういう記述がありますね。

被害者の協力や意向を抜きにして訴追をすることは非常に困難であり、告訴が、権利者の捜査への協力意思を表示する役割を果たしている面もあることから、非親告罪化すれば取締りが強化されるとは、直ちに言いにくいのではないか、


結局、権利者の捜査協力なく捜査・起訴するのは難しいみたいだし、「一般に、被害者の意思と全く無関係に訴追が行われることはない」ということなので、権利者が「二次創作してもいいよ」って思ってるのに捜査・起訴されることはない感じが。

他の非親告罪のものはどうなってるの?

非親告罪になってる商標権について、次のような記載があります。

非親告罪である商標権侵害の場合でも、権利内容の確認や侵害事実の特定、許諾の有無等について確認して、事件を立証していく上で、権利者の協力が欠かせないものであるほか、実務上、権利者の意思について考慮がされている。

権利者の意思は考慮されているようです。


あと、特許権について。

平成10年に特許権等の侵害罪が非親告罪化されて以降も、特許権の侵害事犯の検挙事例が少ないことや、特許権等の極めて専門性を要する事件の捜査では、権利者の協力が重要であることから、現在のところ、非親告罪化により取締り上効果があったと言える状況にはないとされる。

特許権の専門性ということもあるみたいだけど、あんまり取り締まり的には非親告罪になっても効果はなかった、と。

いまは警察の思惑で捜査されないの?

非親告罪になると、警察の思惑で捜査が入ってしまう」みたいなことが書いてあったんだけど、じゃあ親告罪ならどうなの?ということに関して。

著作権侵害事犯の捜査については、一般的に、次のような手順により行われている。
1  端緒の入手としては、権利者からの告訴、被害申告による場合が非常に多いが、第三者の通報、あるいは警察独自に情報を入手する場合もある。
2  これらの告訴や情報に基づき、各種の内偵捜査を行う。この過程で、被疑者を特定し、製造、販売、ネット配信等の実態の解明を行うとともに、それが著作権侵害品であることの鑑定、確認を行う。(当該侵害の対象になっている著作権の内容や、権利者の特定、利用許諾の有無の確認等を行う。)
3  この後、捜査方針の決定、証拠資料の押収、関係被疑者の逮捕、取調べ等を経て検察官に送致する。(告訴の受理や告訴の意思確認は、実態上、この強制捜査に入る前の段階で行われることが多いが、強制捜査前には告訴の意思確認のみを行って、実際の告訴は強制捜査後に受理する場合もある。)


つまり、警察が捜査が必要と判断したなら、現時点でも告訴がない段階で捜査されてるみたいです。よく書かれてる「親告罪なら告訴があるまで警察は動けないけど非親告罪になると告訴なしに警察が動けるようになる」というのは、そうではないようです。
権利者の告訴自体はかなり大詰めの段階で行われるみたいですね。強制捜査に入る前に権利者への確認は、親告罪非親告罪かに関係なく、必要みたいだし。

まとめ

2次創作とかコミケについては、結局今でも警察が動こうと思えば動ける気がするし、あんまり変わらないんじゃないの?