世間体

職業柄ね、こんな時間に酒買いに行ったりするわけですよ。
そうするとね、化粧を施したてで一日のうち一番完成度の高い状態のきれいなおねぇさんが、なりふり構わず急いでたりするわけですね。
で、今日。というかいまさっき。酒買いに行ったときにね、ローソンのいいところはギネスを置いてるところだとか言うのは置いといてね、まぁ、でかい道を歩いてたわけですよ。
そしたら、横断歩道をおねぇさんが渡ってたんです。急ぎ気味に。
でね、横断歩道渡ったあと、急ごうとするのを躊躇した感じで、ツカツカ歩き出したんです。
涼しげにツカツカ歩くことが似合う、それはそれはたいそうきれいなおねぇさんでしたよ。
でもね、なんだか様子が変なんです。急ぎたそうなんですよ。はい。
なんだか気になってね、すれ違ったあとで振り向いて見たんです。
そしたら、すごく向こうに走っていくおねぇさんが。
えぇ、バス待ちのおっさんとか気にせずにね、ドタバタと走ってたんです。
ということはですね、そのおねぇさんが気にする世間体の対象に入れてもらえたってことですよ。
なんだか嬉しくなってですね、こうして書かずにいられないわけです。
考えすぎちゃうか?と思ったりするでしょ?
でもね、「おねぇさんはぼくが見てるから走らないんだと思った」「きっとすれ違ったあとで走り出すと思った」「振り向いたら走ってた」というのがここに書くことができる事実のすべてなんです。
つまりね、おもしろかったんですよ。
だめ?