なぜ掛算順序の話が混乱するのか

掛算順序について学習指導要領解説を見て整理したらいろいろ反論あって、結局のところ問題が三層構造になっていることと、表現という層が認識されていないことで混乱があるように見える。

前回のブログに書いたように「被乗数と乗数の順序が,この場面の表現 において本質的な役割を果たしている」と学習指導要領解説で説明されていて、表現の問題であると整理されています。
掛算の順序と学習指導要領 - きしだのHatena

というの書くと「解説だから・・」みたいな反応がつきますが、文部科学省の通知に「学習指導要領は大綱的な基準であることから,その記述の意味や解釈などの詳細については,文部科学省が作成・公表する学習指導要領解説において説明」とあるので、運用においては最重要な文書だと思います。

まあそれはそれとして、だいたい「交換則があるんだから」とか「ルールは固定されていない」とかが主な反論になっていて、交換則は計算のレイヤー、ルール固定は教育のレイヤーなので、表現として順序が大切かどうかということとはまた別の話になります。

表現の話なので、文化や文書の中で統一したほうが伝わりやすいということで、必要な範囲で統一されていれば、ルール自体はどうなっていてもいいですね。ただ、教えるときにはルールを決めておいたほうがやりやすいので、ルール固定になりやすい。

あと、順序を教えるのは教育の問題ですが、小学二年生の発達段階や理解の構造を考慮せず、できあがった大人と同じ理解力をしてる前提、もしくは理想の理解を前提に話す人も多いようにも思います。

ただ、学習指導要領解説での掛算順序の記述は2017年の改訂で加わったもので、それまでは学習指導要領解説にも掛算の式の表現をどのように教えるか具体的な記述がなく、掛算順序が表現のレイヤーの話であることが明確じゃなかったのだと思います。

表現のレイヤーが認識されていなくて、掛算順序肯定にしろ否定にしろ、教育か計算かどちらかに寄ってしまって、本来議論するべき内容から外れていくんではないかという気がします。