「日本語入力を支える技術」は「日本のトップレベルを支える技術」として読むべき

「日本語入力を支える技術」という本が非常に評判がよかったので買ってみて読んでみたら、想像以上にすごかった。
もちろん、データ構造とか、機械学習とかまとめて読めるのがすごいというのあるし、著者のブログにあるように、構造化SVMとかほかの本に載ってないトピックものっててすごい。
日本語入力を支える技術という本を書きました - 射撃しつつ前転


けど、この本の本当にすごいのは、それぞれの話題に添えられてるちょっとした一言が、いちいち一歩先をいってること。
たとえば確率の解説で、それぞれの確率は0以上かつすべての排反事象に対する確率の合計は1という説明に、「この制約によってとじた形で解を求めることができ、計算を高速化できることもあり」という補足が付くのは、この本くらいじゃないだろうか。
知ってるトピックだとしても読み飛ばさず、一字一句ちゃんと読むのがいいと思います。


しかも文章が読みやすい。
これだけのトピックをこの文章で読めるのは非常に価値のあることじゃなかろうか。
トップレベルの技術者というのは、ここまですごいんだなーと思った。


著者がトップレベルなのはもちろん、レビューにかかわった人たちも恐らくそれぞれトップレベルの人たちなので、間接的にこの本は、そういった人たちの集大成ともいえるかもしれません。
日本のトップレベルの技術者の考え方が垣間見える本です。
日本語入力に興味がなくても読むべき。


あと、読むときは「付録」から読むのがいいと思います。

日本語入力を支える技術 ?変わり続けるコンピュータと言葉の世界 (WEB+DB PRESS plus)

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