コミュニティノートがTwitterを壊している

コミュニティノート、案の定暴走している。
どんな改悪、利用制限よりも大きくTwitter*1を壊してるんじゃなかろうか。

※ 2024/3/12追記 コミュニティノートの、「追加の背景情報が必要ない理由を説明するノート」がうまくまわって、初期に見られた正義の暴走のようなノートは表示されないようになってきています。

コミュニティノートは、多数派に有利な仕組みです。 「コミュニティノートでは、さまざまな視点を持つユーザーにとって役に立つノートが特定されます」 となっていますが、多数派であればさまざまな視点を持つユーザーが確保しやすく、逆に少数派は視点が収束する傾向があるので不利になります。

そのため、なんらかの不満をもっているけどその不満を表明して言葉にするとだいたい間違っているという層には非常に居づらくなっています。

「間違ったツイートをしなければいい」のような発言をみかけるけど、裏を返せば「間違ったツイートをしたならばなにをされても仕方ない」ということにもなっていて、正義であればなにをしても許されるというような「正義の暴走」になっているように見えます。 特に間違っていないのに、単に反対意見の表明がついていることもありますが、多数派にとって心地いいのでそのまま掲載されたりします。
嫌われ者が叩かれているのをみて留飲をさげるような人にとってはいい機能かもしれないけど、それもまた正義が暴走しています。

そうすると、そういった少数派はTwitterから離れて、ThreadsやBlue Skyなど対抗SNSに移行していくと思います。そんな感じで、分断が強くなるんではないかと。

そして、こういったリプライで十分な情報にもコミュニティノートがついていたりします。役にたつかもしれないけど、ツイートの面白さは失われています。

コミュニティノートは、つけられた側からすると間違いや無知がさらされツイートの価値を貶めるものになってしまっています。コントロールもできずツイートを訂正できるわけでもないので、うれしくない。
そして、見る側からも特にうれしくないものも増えています。
一方で、コミュニティノートを書く側としては、自分の文章が有名ツイートにぶらさがって、そしてほとんどの場合はツイートよりも面積をとって目立つようになり、多くの人が話題にするので、自己顕示欲がみたされます。
いままで見たなかで、手軽に最も承認欲求が満たされるツールになっているように思います。YouTubeで炎上動画をとっても、他の人が同じようなことをすると埋もれていきますが、コミュニティノートは有名ツイートにのっかる形なので埋もれることはありません。 おそらく、コミュニティノート承認欲求お化けのような人を生産してるはず。

少数派がTwitterから離れるというのをみて、「嫌われ者は出ていけばええんや」みたいなことを思った人がいるかもしれませんが、コミュニティノートというハンマーを手にした承認欲求お化けにとってすべてのツイートは釘に見えるようになっているので、その時点での少数派に矛先が向かっていくのではないかと思います。

あと、コミュニティノートはある程度バズらないと対象にならないので、有名人ほどノートがつきやすいのだけど、つまり有名人ほどコミュニティノートに嫌気さして抜けていく確率が高くなってしまう。
有名人いなくなれば、それを目当てに入ってくる人もいなくなるので、代謝も悪くなっていく。

こうやってTwitterが本格的に壊れる未来がみえてしまった・・・

こういう話は伝わらない人には伝わらないと思うけど、とりあえず倫理学の入門書をおいておきます。

※ 9/4追記 コミュニティノートに関する調査研究がありますね。
効果がでたという証拠は見つけられず、最も拡散される初期段階に対処するには遅すぎることを示唆、という結果。
https://arxiv.org/abs/2307.07960

*1:TwitterだったサービスをそのままTwitterと表記します