報道ヘリがうるさくて救助の邪魔になるという話はどう広まったのか

報道ヘリがうるさくて救助の邪魔になるという話はどう広まったのか、というのを調べてみていたのでメモ

そもそもとして「報道ヘリがうるさくて救助の邪魔になる」ということなんてあるのか、という話は、1995年1月17日の阪神淡路大震災にさかのぼる。
震災後6日後に収録されたと言われる1月27日放送の「パペポTV」で上岡龍太郎が次のような発言をしていた。

取材陣のヘリコプターがあの被災地の上を飛び回るでしょう。あの爆音のために、生き埋めになってる人に外からどんなに声かけても、その人たちの声が爆音のために聞こえない

救助の邪魔になるという話 以外にも、被災者から「自分が見せ物にされている」というような苦情もあったようだ。救助ヘリの邪魔になる高度を飛ぶようなこともあったらしい。

これは実際に問題だったようで、その後1997年に日本民間放送連盟から「航空取材ガイドライン」が出されて、報道ヘリがある程度の高度を保つようになっている。
よりよい放送のために | 一般社団法人 日本民間放送連盟

なので、現在ではマスコミのヘリはそこまで邪魔になるような高度を飛んでないはず。

にもかかわらず、いまネットでそういう話が流れるのは、2016年に上記の番組がYouTubeにあげられて、その書き起こしがネットに広がったというのが影響していそう。
もちろんそこには航空取材ガイドラインの話は出てこないので、「今でも邪魔な報道ヘリの飛ばし方をしている」というような印象をもって広まった。

それがいまだにTwitterで語り継がれてる、というそういう状況だと思われる。

※ 追記 2024/1/6 長崎県の轟峡遊歩道での件が「反例」として貼られてるけど、ガイドラインで報道ヘリの基準高度が600-700m以上くらいに決まってるものの(具体的な数字は見当たらず)、標高200mということで報道ヘリとの距離が平地より近くなったんじゃなかろうか。 あと、ドローンは電波がそれほど届かないので操縦者が直下まで出向かなければならず、災害時に飛ばすのには向いてないですね。